
「日本でアパートを借りたいけれど、言葉の壁が不安だ」「保証人がいないと断られてしまった」「敷金や礼金って、いったい何?」
日本での新生活に胸を膨らませる一方で、最初の大きなハードルとなる「部屋探し」で、こんな悩みを抱えていませんか? 私自身、仕事で海外から来たスタッフの住居探しを手伝うことがありますが、そのルールの複雑さや独特の慣習には、いつも頭を悩ませます。
以前、非常に優秀な海外スタッフが「保証人不要」という物件を見つけて喜んでいたのも束の間、「日本語が堪能な緊急連絡先がいない」という理由だけで、審査に落ちてしまったことがありました。その時の彼のがっかりした顔は今でも忘れられません。
しかし、安心してください。ここ数年で、日本における外国人向けの賃貸事情は大きく改善しています。言葉や文化の壁を乗り越え、あなたに最適な部屋を見つけるための「知識」と「コツ」さえ知っておけば、もう何も恐れることはありません。
これから、私が現場で見てきた多くの実例に基づき、外国人対応の不動産会社の賢い使い方から、日本特有の契約文化、そしてあなたの状況に合わせたおすすめ物件まで、徹底的に解説していきます。
目次
- 外国人対応可能な不動産会社の活用方法
- 英語対応のアパート物件の探し方
- 契約時に注意すべき文化の違い
- 外国人歓迎アパートの特徴と探し方
- 留学生や海外赴任者におすすめの物件
1. 外国人対応可能な不動産会社の活用方法
日本での部屋探しは、残念ながら、まだ多くの不動産会社や大家さんが「外国人不可(Foreigners not allowed)」の壁を設けているのが現状です。一般的な不動産会社に飛び込んでも、言葉が通じないばかりか、「外国籍」というだけで紹介できる物件がほとんどない、と断られてしまうケースも少なくありません。
だからこそ、スタートラインとして「外国人対応(Multilingual Support)」を専門とする不動産会社を活用することが、最も重要で、最も効率的な第一歩となります。
なぜ専門の不動産会社が必要か?
彼らは単なる通訳ではありません。
- 言語のサポート: 契約書や重要事項説明といった難解な日本語を、あなたの母国語(主に英語や中国語)で説明してくれます。
- 「外国人OK」物件の保有: 大家さんとの間に立ち、外国人の入居実績を積み重ねることで、「外国人歓迎」の物件リストを豊富に持っています。
- 審査ノウハウの蓄積: 保証人がいない場合に必要な「保証会社」の審査や、ビザの種類に応じた必要書類など、外国人が契約するために必要な手続きを熟知しています。
賢い活用方法と伝えるべきこと
専門の不動産会社を見つけたら、問い合わせの段階で以下の情報を正直に、かつ明確に伝えることが、スムーズな部屋探しにつながります。
- あなたの日本語レベル:
「日常会話は可能だが、漢字の読み書きは苦手」「挨拶程度しかできない」など、具体的に伝えましょう。これにより、不動産会社側もサポートのレベルを判断できます。 - ビザ(在留資格)の種類と在留期間:
「留学ビザで残り2年」「就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)で3年の許可が出ている」など。滞在期間は、大家さんが「長く住んでくれるか」を判断する重要な材料になります。 - 保証人の有無:
日本人の保証人をお願いできる人がいるか。もしいない場合は、最初から「保証会社を利用したい」と明確に伝えましょう。これが最も現実的な解決策です。 - 緊急連絡先の有無:
保証人とは別に、「日本国内在住で、日本語が話せる連絡先」を求められることが非常に多いです。これが、学校の先生なのか、会社の上司なのか、事前に相談しておくと審査がスムーズです。 - 勤務先や学校の情報:
安定した収入や所属を証明することは、審査において最も重要です。
私が見てきた中で、本当に親切な不動産会社は、物件を紹介して終わりではありません。契約後の電気・ガス・水道といったライフラインの開通手続きや、インターネットの契約までサポートしてくれるところもあります。そうした「入居後のサポート体制」も、会社選びの一つの基準にすると良いでしょう。
関連記事:賃貸の保証人不要物件を利用する方法
2. 英語対応のアパート物件の探し方
外国人対応の不動産会社を見つけるのと並行して、自分でも物件情報をリサーチすることは大切です。しかし、日本の一般的な賃貸情報サイトでは、情報が多すぎて効率が悪いかもしれません。
外国人向けの専門ポータルサイトを活用する
最も効率的なのは、最初から外国人向けに作られた賃貸情報サイトを利用することです。
- GaijinPot Housing
- Real Estate Japan
- Best-Estate.jp
- SUUMO (英語版)
これらのサイトは、掲載されている物件の多くが「外国人可」を前提としており、サイト自体が英語や多言語に対応しているため、ストレスなく検索できます。
物件情報(募集図面)で見るべきキーワード
物件情報をチェックする際、以下のキーワードに注目してください。
- 「外国人可」「外国人相談 (Foreigners Welcome / Negotiable)」:
これが最低条件です。これが無い物件は、問い合わせても断られる可能性が高いです。 - 「英語対応可 (English Available)」:
大家さんや管理会社が、英語でのコミュニケーションに対応可能という意味です。入居後に水漏れや鍵の紛失といったトラブルがあった際、日本語が不安な人にとっては非常に心強い表記です。 - 「保証人不要 (No Guarantor Required)」:
この表記がある場合、ほとんどは「保証会社の利用が必須」という意味です。保証人がいなくても契約できる、ポジティブなサインと捉えましょう。 - 「定期借家契約 (Fixed-term Lease)」に注意:
これは少し専門的な話ですが、非常に重要です。日本の賃貸契約には2種類あります。- 普通借家契約: 2年契約が一般的で、希望すれば「更新」して住み続けることができます。
- 定期借家契約: 契約期間(例: 2年)が満了すると、更新はできず、必ず退去しなければならない契約です。
「短期の留学や赴任」であれば定期借家でも問題ありませんが、長く日本に住みたいと考えている人は、この表記を避け、「普通借家契約」の物件を選ぶ必要があります。
面白いことに、「英語対応OK」と書いてあっても、実際は「英語の定型文メールフォームがあるだけ」で、電話をかけたら日本語しか通じなかった、というケースも。内見の申し込み(Inquiry)の段階で、実際に英語でどの程度のコミュニケーションが取れるか試してみるのも一つの手です。

3. 契約時に注意すべき文化の違い
無事に物件が見つかり、いよいよ契約へ。ここで、多くの外国人が直面するのが、日本独特の「初期費用」と「契約文化」の壁です。
「礼金」って何? 日本特有の初期費用
契約時に支払う初期費用は、家賃の4〜6ヶ月分になることも珍しくありません。その内訳を理解しておくことが重要です。
- 敷金 (Deposit / Security Deposit):
家賃1ヶ月分程度。大家さんに預けておく「担保」のお金です。あなたが退去した後、部屋のクリーニング代や修繕費に使われ、残金があれば返金されます。 - 礼金 (Key Money / “Thank You” Money):
家賃1〜2ヶ月分程度。これは、大家さんに対して「部屋を貸してくれてありがとう」と支払う、文字通り「お礼」のお金です。欧米にはない文化のため、「Why should I pay just to say Thank you?」と驚く外国人が最も多いポイントです。このお金は返金されません。 - 仲介手数料 (Agent Fee):
家賃0.5〜1ヶ月分程度。物件を紹介してくれた不動産会社に支払う手数料です。 - 前家賃 (Rent in Advance):
入居する月(と翌月分)の家賃を前払いで支払います。 - 保証料 (Guarantor Fee):
家賃0.5〜1ヶ月分程度。次の項目で説明する「保証人」の代わりになる会社へ支払う費用です。
「保証人 (Guarantor)」という最大の壁
日本で賃貸契約を結ぶ際、最大のハードルがこの「保証人」制度です。
- 保証人とは?: あなたが万が一家賃を滞納したり、部屋に損害を与えたりした場合に、あなたに代わって全額を支払う義務を負う人のことです。
- 誰がなれる?: 大家さんは「日本人で、安定した収入がある親族」を求めるのが一般的です。
- どうすればいい?: 多くの外国人は、この条件を満たす保証人を用意できません。
そこで、「保証会社(Guarantor Company)」を利用するのが、現在では最も一般的です。
前述の「保証料」を支払うことで、この会社があなたの保証人になってくれます。最近では、外国籍の人でも利用しやすい保証会社が増えています。
「緊急連絡先」は保証人と違う
保証会社を利用しても、それとは別に「緊急連絡先(Emergency Contact)」を求められることがほとんどです。
これは、あなたに万が一の事故や病気があった際、安否確認などのために連絡がつく人のことです。
「保証人」ほどの重い責任はありませんが、「日本国内に住んでいて、日本語でコミュニケーションが取れる人」を求められます。これが用意できず、契約が難航するケースが(私の同僚のように)実際にあります。
学校の留学生担当の先生や、会社の採用担当者・上司に、事前にお願いできるか相談しておくことが非常に重要です。
入居後の文化の違い
- ゴミ出しのルール:
日本はゴミの分別(燃えるゴミ、プラスチック、瓶、缶など)が非常に厳格です。指定された曜日の、指定された時間(例: 朝8時まで)に、指定された場所に出さなければ、近隣トラブルの原因になります。 - 騒音問題:
日本のアパート、特に木造(Wood)や鉄骨造(Steel frame)は、壁が薄いことが多いです。夜遅くのパーティ、大音量の音楽、掃除機や洗濯機の使用は厳禁です。 - 靴を脱ぐ文化:
玄関で必ず靴を脱ぎ、部屋に上がります。土足で上がると、床を傷つけるだけでなく、大家さんとの信頼関係を失います。
4. 外国人歓迎アパートの特徴と探し方
「外国人可」よりも一歩進んだ、積極的に「外国人歓迎」の姿勢を示している物件には、どのような特徴があるのでしょうか。
「外国人歓迎」物件の特徴
- 大家さんや管理会社に外国人入居実績が豊富:
これが一番安心です。文化の違いによる小さなトラブルや、言語の壁に慣れています。 - 多言語対応のサポートデスクがある:
入居後に「エアコンが壊れた」「水が漏れている」といった緊急事態が発生した際、英語や中国語で電話できるコールセンターが用意されている場合があります。 - 保証会社との提携がスムーズ:
外国籍でも審査が通りやすい保証会社と、あらかじめ提携していることが多いです。
「外国人歓迎」物件の具体的な種類
最初からこれらの物件タイプに絞って探すのは、非常に賢い戦略です。
- UR賃貸住宅:
これは国の機関(都市再生機構)が管理する物件です。- 最大のメリット: 礼金ナシ・仲介手数料ナシ・更新料ナシ・保証人ナシ。
- 特徴: 収入や貯金額に関する一定の審査基準はありますが、それをクリアすれば国籍で差別されることはありません。全国に物件があり、ファミリー向けも単身向けも豊富です。
- シェアハウス / ゲストハウス:
- メリット: 初期費用が圧倒的に安い(敷金・礼金ゼロが普通)。家具・家電付き。水道光熱費やネット代が家賃に含まれている(共益費)。
- 特徴: キッチンやシャワーを共用し、個室でプライベートを確保します。国際交流をしたい人、コストを抑えたい学生に最適です。
- ソーシャルアパートメント:
シェアハウスの進化版です。プライベートな個室(ワンルームタイプ)は守りつつ、ラウンジ、シアタールーム、ジムといった豪華な共用部が利用できます。 - 家具・家電付き物件(Furnished Apartments):
一般のアパートですが、最初から生活に必要な家具(ベッド、冷蔵庫、洗濯機など)が揃っています。引越し費用を大幅に削減でき、スーツケース一つで生活を始められます。
探し方
- 「UR賃貸 外国人」「シェアハウス 外国人可」などで検索する。
- 不動産会社のスタッフに「大家さんが外国人の入居に慣れている物件がいい」「管理会社が英語対応できるところがいい」と、具体的な希望を伝える。
関連記事:部屋探しで得するキャンペーン活用術|初期費用や家賃を抑える賢い選択
5. 留学生や海外赴任者におすすめの物件
最後に、あなたの日本での滞在目的別に、これまでの情報を整理し、最適なおすすめ物件タイプを提示します。
1. 留学生(滞在1〜2年 / 費用重視)
- 学生寮:
最も安価で安全な選択肢。まずは、入学する学校が提携している寮がないかを確認しましょう。 - シェアハウス:
コストを抑え、日本人や他の留学生とコミュニティを作りたい人に最適です。 - UR賃貸:
親からの仕送りなどで収入基準(または貯金基準)を満たせるなら、保証人不要のため有力な選択肢になります。
2. 海外赴任者(短期 / 1年未満)
- 家具・家電付き物件(Furnished Apartments):
引越しや家具購入の手間を一切省き、すぐに生活をスタートさせたい人に最適です。 - サービスアパートメント (Serviced Apartments):
ホテルのような清掃サービスやフロントサービスが付いた高級賃貸。費用は最も高いですが、最も快適で手間がかかりません。会社の経費(社宅)として借りる場合に多いです。
3. 海外赴任者・家族帯同(長期 / 2年以上)
- 外国人対応の一般賃貸(2LDK, 3LDKなど):
本記事で紹介した外国人対応の不動産会社を通じて、家族向けの物件を探します。 - UR賃貸:
ファミリー向けの広い物件も多く、更新料がない(長く住んでも追加費用がかからない)ため、長期滞在者に非常に人気があります。

「言葉の壁」を「安心」に変える、日本での部屋探し
日本での部屋探しは、礼金や保証人といった独特のルールがあり、確かに外国人にとってはハードルが高いものです。
しかし、近年は外国人対応の不動産会社、保証会社制度の普及、そしてUR賃貸やシェアハウスといった多様な選択肢が確実に増えています。
最も大切なのは、部屋探しの最初の段階で、「自分は外国人であること」「日本語レベル」「保証人がいないこと」を正直に、オープンに伝えることです。そうすれば、不動産会社もあなたに対応可能な物件を効率よく提案してくれます。
この記事でお伝えしたポイントが、あなたの不安を少しでも取り除き、日本での素晴らしい新生活の「拠点」を見つけるための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。